かんげき2024年7・8月号Vol.90

旅芝居ささえびと第8回橘劇団マネージャー・鈴木優子さん(2/4)

劇場:池田呉服座取材日:2024年4月8日
旅芝居ささえびと 第8回 橘劇団マネージャー・鈴木優子さん(2/4)

この劇団をトップレベルに

 

お手伝いから、入団されたのはどんな流れだったのですか。

鈴木

総座長の奥さんに『うちに来なさいよ』と言われて、突拍子もなく、ポンと入ってきた感じです。美容室のお店は、機械の入れ替えに高額なお金がかかることもあり、店を閉めて、住まいも全部引き払って、一緒に行くことにしました。

 

橘劇団が、既に心をとらえていたのですね。

鈴木

この劇団は絶対、トップレベルに行くと思いました。トップレベルにさせたい、という自分の強い思いもありました。

 

いまでは劇団のあらゆる業務を担っています。

鈴木

チケットの受付や、劇団の会計も全部させていただいています。自分で言うのもなんですけど、橘劇団の支払いは、さすがマネージャーがいるから正確で早いと、言っていただけると思います。

 

特別公演の予約窓口も、鈴木さんの携帯のショートメールですよね。

鈴木

必ずショートメールにしているのは、電話でお受けすると、一日鳴りっぱなしになることがあるからです。三代目の襲名公演(2011年)のときが、一番すごかったですね。当時はお電話していただいて受付したのですが、予約日の0時になった瞬間から、ずっと鳴りっぱなし。一日、止まりませんでした。

 

お客さんからは、鈴木さんに席をお願いすると、絶対忘れないから安心と言われています。

鈴木

できたら、お席は私に言っていただけるとありがたいです。役者さんは、どうしても忙しくて、頼まれた席を忘れてしまうことがあります。そういうときも、私がうまくカバーして、「大丈夫ですよ、お席ありますから」と言うようにしています。

「今日の夜と明日の昼のお席、大丈夫ですよね?」
お客さんに頼まれ、劇場スタッフと一緒に予約を確認。
 

座長のゲスト先にも同行されるのですよね。

鈴木

はい。三代目は休演日もほとんどゲストで、その荷物を私が車で運んでいるので。三代目さんは休みがなくて大変ねって、よく言われますけど、こっちも大変です(笑)。

でも、車の運転は好きです。乗り込みのときも、7時間でも8時間でも一人で運転します。その間に少し自由な時間があったら、サービスエリアでゆっくり過ごすこともあります。それが楽しみですね。

照明の岡本健一さんと。橘劇団を裏で支える二人。

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