大衆演劇にまつわるあれこれの言葉。
お芝居の中に出てくる言葉から、大衆演劇独特の言葉まで、知っておくと大衆演劇がより楽しめます。このページでは「ま」行・「や」行・「ら」行・「わ」行の用語について解説します。演目や題材については演目豆事典をご参照ください。
ま
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幕まく
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幕間まくあい/まくま
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股旅またたび侠客や博徒、芸人や芸者が各地を旅することです。股旅物とは、そういった侠客や博徒を主人公とした演目で、大衆演劇における人気ジャンルです。三波春夫さんによると、昭和4年(1929年)に書かれた長谷川伸の作品「股旅草鞋」に由来するそうで、疲れをマタタビの実を食べていやしながら旅を続ける様を表したものだそうです。 江戸時代には統制が厳しく、勝手に地元を離れることは困難であり、また明治以降でも旅行には大きな費用と勇気が必要でした。そうしたしがらみから自由な股旅物が人々に受けたのはそういった面があるからかも知れません。 三度笠に、しまの道中合羽、股引に脚絆(きゃはん、すねの部分に巻く川や布製のもの)といったいわゆる「股旅姿」は股旅物の定番です。
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俎帯まないたおび花魁が手に持つような、前の部分に大きくたらした帯です。
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間夫まぶ遊女の情夫や本当の恋人を指します。
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廻り舞台まわりぶたい
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身売りみうり
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見得みえ役者さんが重要なセリフを言うときなどに、ポーズを決めてぐっと客席をにらむことです。大衆演劇では「山」をきめるタイミングにあたります。
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見切れるみきれる役者さんや小道具など、本来は見えては行けないものが見えてしまうことです。
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みかじめ料みかじめりょうやくざや侠客が、縄張りの中で営業している店から取り上げる営業料。
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身投げみなげ川などに行われる投身自殺を指します。
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三波春夫みなみはるお
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ミニショーみにしょー20分から30分程度の短いショーです。
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無宿むしゅく江戸時代、人別帳からはずれた人間を指します。無宿とは家が無いという意味で、アウトロー扱いでした。
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メイクめいく大衆演劇の役者さんの舞台化粧は、自分で行うのが原則です。このため大きな化粧道具を自分で持ち歩き、自分なりの方法を身につけてメイクをする必要があります。しかもショーと芝居の間に手早く行うのですから、それも手早く行えなければなりません。
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明治時代めいじじだい明治天皇が即位した1868年から、1912年の崩御までの期間です。江戸時代に比べると少ないですが、それでも様々な演目が明治時代を舞台としています。武士は士族となり、江戸は東京となり、多くの制度が変わりましたが、まだ江戸時代の名残が残っていた時代です。
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面積めんせき大衆演劇の舞台となる江戸時代に使われていた面積の単位には以下のようなものがあります。反や坪は現在でも使われることが多いです。
- 勺(しゃく)
- 0.033平方メートル程度です。
- 合(ごう)
- 0.33平方メートル程度です。
- 坪(つぼ)
- 3.3平方メートル程度です。山林などの場合には歩(ぶ)と言います。
- 畝(せ)
- 30坪(歩)、つまり約99平方メートルです。
- 反(たん)
- 10畝、つまり約991平方メートルです。ただし布地の場合の反は、幅9寸5分の布の長さが3丈(じょう)以上のものを1反と数えますが、用途によって微妙に長さは異なります。
- 町(ちょう)
- 10反、つまり約9910平方メートルです。
- 畳(じょう)
- 畳一枚の広さ、江戸など関東で使われる江戸間なら2尺9寸×5尺8寸(880×1760mm)、京都など関西地方で使われる京間なら3尺1寸5分×6尺3寸(955×1910mm)が基本となります。
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もぎりもぎり劇場の入り口などで、チケットの受け取りを行う係。木戸番とも言います。
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森の石松もりのいしまつ清水次郎長の子分で、喧嘩には滅法強いがどこか抜けているキャラクターです。「江戸っ子だってねえ、寿司を食いねえ」というセリフは有名です。
や
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矢場やば的屋ともいいます。弓矢をつかって的に当て、商品がもらえる江戸時代の遊び場所です。客の放つ矢をかいくぐって 落ちた矢を拾う矢取女という遊女もいるなどあまり健全な場所と思われていませんでした。そのため「ヤバい」という言葉の発祥となったと言われています。
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山やま大衆演劇の芝居に置ける盛り上がり場所、見せ場のことです。ここをどう見せるかで役者や劇団の評価が変わると言っても過言ではありません。ここをもりあげることを「山をあげる」といいます。
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山台やまだい高さ1尺4寸(約42cm)の台。役者さんが腰掛ける場所などに使う、大道具の一つです。
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雪ゆき大衆演劇の舞台で降る雪は、多くは紙を三角形に切ったものです。しかしそれが不思議と情感をかもし出します。
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遊郭ゆうかく遊女を集め、男性の遊興施設となった店が集まる場所。幕府によって公認された場所を指し、江戸の吉原、京都の島原、大阪の新町、長崎の丸山などが有名です。華麗な見た目と悲しい運命が交錯する場所として、様々な演目の舞台となっています。公認されていない場所は岡場所(おかばしょ)と言います。
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遊女ゆうじょ
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寄場よせば江戸時代、比較的軽い罪を犯した者達を働かせた場所で、更生や就業支援の意味もあったため、近代的な刑務所のさきがけとも言われます。人足寄場(にんそくよせば)ともいいます。寄場送りといえばつかまって、寄場に送られることを言います。火付盗賊改の支配下にあり、鬼平こと長谷川平蔵宣以の発案でつくられました。
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四つ綱よつづな劇場の四隅に綱をかけ、その上を綱渡りするというケレンの中でも大技です。
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夜鳴き蕎麦よなきそば江戸時代、夜間に町を回った蕎麦の屋台です。一杯12文から16文であることが多いです。
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与力よりき
ら
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落語らくご江戸時代から伝わる、演者の語りを聞かせる演芸です。文七元結や牡丹灯籠など、落語が元になった大衆演劇の演目も意外とあります。泣かせる人情噺や怪談が上演されることが多いようです。 また逆に大衆演劇の世界を落語化したものもあります。六代目桂文枝(桂三枝)さんの創作落語、「コテコテ劇場 男の花道」はいわゆる「クサい芝居」の大衆演劇界を題材とした作品です。この作品を演じるにあたって、文枝さんは実際に劇団の方から指導を受けたそうです。
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ラストショーらすとしょー
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レイれい
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浪曲ろうきょく
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老中ろうじゅう江戸幕府において、将軍を補佐するメンバーで、現在の内閣のような存在でした。徳川家に昔から仕える譜代の大名しか就任できませんでした。庶民にとってはとてつもない権力者です。 最も上席の老中は勝手掛老中とよばれる財政担当の老中で、老中首座とも呼ばれます。
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ロビーろびー劇場入り口から客席までの間にある、やや広くなっている場所です。役者さんへの花やポスター、別の公演の予定など、意外と見所はあります。終演後には送り出しが行われることもあります。
わ
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若年寄わかどしより江戸幕府において、老中に次ぐ高官です。旗本や江戸城内、江戸のインフラなどを統括していました。若いのに年寄りっぽい人ではたぶんありません。
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笑いわらい
参考文献
- 「芝居通信別冊 大衆演劇座長名鑑2003」オフィス・ネコ(2003年)
- ぴあ伝統芸能入門シリーズ「大衆演劇お作法」ぴあ(2004年)
- 木丸みさき「私の舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記」メディアファクトリー(2014年)
- 宮本真希「大衆演劇における『お花』とは何か―見せることの意味―」(2013年)
- 鵜飼正樹「大衆演劇はグローバル化の時代をどう生き抜くか?」(2011年)
- 「江戸時代の1両は今のいくら?―昔のお金の現在価値― 」 日本銀行金融研究所貨幣博物館