KANGEKI2023年1・2月合併号Vol.75

舞台裏の匠たち第7回着付け師・大門良美さん(3/6)

取材日:2022年10月30日
舞台裏の匠たち 第7回 着付け師・大門良美さん (3/6)

閃きの帯結び

 

帯のアレンジが独創的です。どうやって考えられるのですか?

良美

音源と鬘からイメージが沸き、あとは帯を持った瞬間に閃きます。

良美さんが着付けした澤村蓮座長の帯。一本の帯が艶やかな形に。(良美さん提供)
水葉朱光座長の帯。
※2022年8月、劇団朱光での良美さんの着付けの様子を記事の最後に掲載しています
水川龍之助さんの帯
神楽坂美佳さんの帯。ひらめきで形を決めるので、二度と再現できないものもあるそう

さらに、これまでに閃かれた帯結びの一部をご紹介。すべて良美さん提供写真です

 

良美さんの着付けは、大衆演劇の楽屋だけでなく、別の分野にも広がりました。テレビタレントさんの着付けや、卒業式、成人式の着付けもされています。

良美

外のお仕事でも、大衆演劇で培った知恵が生きたことがあります。卒業式のお嬢様の着付けをしていたら、お荷物に半幅帯が入っていなかったんです。おうちの方が入れ忘れたということでした。伊達締めがあったので、これを使うことにしましたが、後ろの盛り上がりができません。

どうしようと思っていたら、着付け会場が美容室だったので、お子様向けの絵本があることに気がつきました。とっさにこれを使おう!と思い、店長さんに説明して絵本を頂いて、絵本の固い部分を切って袴板にしました。瞬時に判断できたのは、大衆演劇の楽屋で働いてきたからだと思います。

美容室にあった絵本をお店に許可を得て頂き…
袴板の完成!
伊達締めを帯にしました
 

普通の方は、絶対できない判断です。

良美

役者さんもブログでこのエピソードを知って、すごいですねとおっしゃってくれました(笑)。

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