股旅とは侠客や博徒、芸人や芸者が各地を旅することです。股旅物は、そういった侠客や博徒を主人公とした演目で、大衆演劇における人気ジャンルです。三波春夫さんによると、昭和4年(1929年)に書かれた長谷川伸の作品「股旅草鞋」に由来するそうで、疲れをマタタビの実を食べていやしながら旅を続ける様を表したものだそうです。 江戸時代には統制が厳しく、勝手に地元を離れることは困難であり、また明治以降でも旅行には大きな費用と勇気が必要でした。そうしたしがらみから自由な股旅物が人々に受けたのはそういった面があるからかも知れません。