舞台裏の匠たち第6回難波の舞台化粧品専門店「美壽屋」(6/6)
常に動いているお店
僕たちでは扇子や団扇は作れないんですけど、こういうのはできませんか?というのを、常にこっちから職人に相談しています。たとえば団扇の裏・表で柄違いとか。あるいは、文字を抜いた団扇とか。
そこまで新作にこだわるのはなぜでしょう。
役者さんは、常に新しい柄を見たいって思っているでしょう。服でも、お店に行ったら新柄はありますか?とか聞くことがあると思いますけど、それと同じことです。
何か新しいものはありますか?と役者さんは聞かれるし、仮に何も言わなくても、『ちょっと変わった玉かんざしがあるな』とか、お店に来られたときに絶対に見られていますから。
なるほど!その目に応えておられるのですね。
新しく作ったものが全部売れるわけじゃないですけど、何か見たことがないものがあるということが、お客様がうちに来てくれることに繋がっていると思っています。
美壽屋は、常に動いています。
接客、電話注文、色々な対応がありますけど、それ以外の時間も、ただお客さんを待っているという時間にはしません。新しく柄を作ったり、職人さんに提案したりしています。
それはお客様には見えないことですし、実際そんなにバタバタした店じゃないように見えると思うんですが(笑)、お客様が店にいない時間に、動いていることが必要なんです。
店舗情報
「美壽屋(みすや)」
大阪市中央区難波千日前3-3
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜·祝祭日
電話:06-6641-2825
LINE:09066767207で電話番号検索
取材後記
「美壽屋」の店内に入ると、わぁ!と声が出そうなくらい、棚一面に並ぶドーランやかんざしの色鮮やかさに目を奪われます。その多くが、お店が独自に作りだしたオリジナルということは、お話を聞くうちにわかったことでした。
役者さんの好みを記録し、求めに応じて品数を増やし、もう一歩先へ行って「まだ見たことのないものがありますよ」と提案する。創業から95年の老舗は、水面下で動き続け、今日もアップデートを続けていました。
「劇団さんの最新情報を得るために、KANGEKIさんのツイッターをチェックするのを毎朝の習慣にしています」と前田さんにおっしゃっていただき、取材班も嬉しい限り!