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演目豆辞典

大衆演劇では様々な題材が取り上げられており、黎明期である江戸時代から、人気のある演目というのがいくつも生まれています。ここではそういった演目や題材の概略を記しています。観劇の際にご参考に、また面白そうと思われる演目がありましたら、ぜひ劇場に足を運んでみてください。同じ演目でも劇団によって演出や脚本が異なりますので、見比べるのも楽しいです。細かい用語などについては大衆演劇豆辞典をご覧下さい。

このページでは「あ行」の項目について解説します。

天野屋利兵衛

あまのやりへえ

江戸時代の商人で、忠臣蔵等に登場する人物です。大石内蔵助ら赤穂の浪人のために武器を調達しますが、奉行所にとらえられます。しかし討ち入りが成功するまでついに口を割らなかったという話です。「天野屋利兵衛は男にござる」等の名台詞で知られます。

実在した人物ですが、本来は討ち入り事件に全く関係のない人物だったようです。

  • 天河屋義平

泉鏡花

いずみきょうか

明治時代の小説家。1873年(明治6年)~1939年(昭和14年)。尾崎紅葉の弟子で、緻密な描写を得意としました。その作品は明治に始まった新劇や新派劇でよく取り上げられ、大衆演劇でも人気演目となっています。

一本刀土俵入

いっぽんがたなどひょういり

下総取手宿(茨城県取手市)の酌婦(しゃくふ)お蔦は、ある時腹を空かせた男を助ける。男は相撲部屋から破門された茂兵衛で、再入門を許してもらう旅にでているとのことだった。お蔦は茂兵衛の身仕度を整えてあげ、送り出すのだが…

長谷川伸の脚本で、1931年(昭和6年)に初公演されて以来の人気演目です。最初はさえない姿の茂兵衛が、後半ではうって変わった姿を見せます。「しがねえ姿の土俵入りでござんす」のセリフは、三波春夫の浪曲でも謡われています。

  • 茂兵衛
  • お蔦

井原西鶴

いはらさいかく

江戸時代の作家。1642年(寛永19年) - 1693年(元禄6年)。浮世草子から浄瑠璃脚本、俳諧まで幅広く手がけた作家で、元禄文化を代表する人物の一人です。

梅川忠兵衛

うめかわちゅうべえ

新町の遊女梅川に入れあげた、飛脚問屋亀屋の養子忠兵衛は仕事も手につかない様子。ある日、忠兵衛の友人八右衛門は、亀屋に運搬を依頼した金が届かないことに気づき…。

もとは宝永7年(1710年)に実際に起きた事件。このテーマを元にしたものでは、近松門左衛門の冥土の飛脚や、それをもととした「けいせい恋飛脚」、歌舞伎の「恋飛脚大和往来」等の作品が知られます。

  • 亀屋忠兵衛
  • 梅川
  • 丹波屋八右衛門
  • 冥土の飛脚
  • けいせい恋飛脚
  • 恋飛脚大和往来

江戸の朝霧

えどのあさぎり

侠客一家三河屋の二代目となった政五郎。各所に挨拶回りに出るが、鬼龍院一家の親分、大五郎は政五郎からの挨拶状が届いていないと激怒していた…

いわゆる侠客物ですが、劇団によって役名が異なっていることもあります。

  • 政五郎
  • 島蔵
  • 鬼龍院大五郎

お里沢市

おさとさわいち

目が見えない沢市を思い、妻のお里は壷阪寺に視力の回復を祈って参詣していたが、良くなる気配がない。悲観した沢市は、満願成就の日に滝から身を投げてしまい…

もとは『壺坂(阪)霊験記』という浄瑠璃で、奈良県高市郡高取町にある壺阪寺の霊験を讃えたものです。「妻は夫をいたわりつ、夫は妻に慕いつつ」という浪曲のフレーズで有名です。

  • 沢市
  • お里

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おさん茂兵衛

おさんもへえ

京都の大経師(暦を扱う商人)の妻、おさんは手代の茂兵衛と恋仲になり、ついに駆け落ちをして丹波(現在の京都府・兵庫県北部)に逃亡するが…

寛文2年 (1662年) に実際に起きた事件。井原西鶴近松門左衛門によって作品化されました。

  • おさん
  • 茂兵衛
  • 大経師以春
  • 赤松梅龍
  • 大経師昔暦

お夏清十郎

おなつせいじゅうろう

姫路の米問屋、但馬屋の娘お夏と手代の清十郎は恋をしてしまうが、主人の娘と手代の恋が許される訳も無かった。二人はついに駆け落ちを決意するのだが…

寛文2年 (1662年) に実際に起きた事件を元にした作品。井原西鶴近松門左衛門によって作品化され、多くの人々の涙を誘いました。現在姫路市にはお夏と清十郎の墓が現存しています。

坪内逍遥らによって舞踊化された『お夏狂乱』はショーの題材としても使われます。

  • お夏
  • 清十郎

鬼あざみ清吉

おにあざみせいきち

息子の清吉と暮らしていた安兵衛は、後妻としておまさを迎えるが、清吉はおまさになつこうともせず…。

義賊「鬼薊清吉」の物語は上方落語や講談、歌舞伎でよく知られています。モデルとなったのは江戸時代の盗賊、鬼坊主清吉と言われています。

  • 清吉
  • おまさ
  • 安兵衛
  • 小袖曾我薊色縫
  • 十六夜清心

婦系図

おんなけいず

名うてのスリだった早瀬主税(はやせちから)は、ドイツ語学者酒井俊蔵の書生となり、新進気鋭と呼ばれるほどの学者として将来を嘱望されていた。主税にはお蔦(おつた)という柳橋芸者の馴染みがおり、将来は夫婦になろうと誓い合っていた。しかし芸者と結婚することは、経歴の傷となると考えた酒井は、主税にお蔦と別れるように命じるのだが…

原作は泉鏡花の小説で、明治時代後期に発表されました。新派でも人気演目になり、大衆演劇でもよく扱われています。酒井への義理とお蔦への愛情の間で揺れ動く主税と、一途に主税のことを想うお蔦の心情、そしてその後の急展開も見所です。「別れろ切れろは芸者の時に言う言葉…」というお蔦の名台詞がありますが、これは舞台版のみのセリフで、原作小説には出てきません。

  • 早瀬主税
  • お蔦
  • 酒井俊蔵
  • 妙子
  • 婦系図 湯島の白梅